みなさんこんにちは!

今回は猫ちゃんのリンパ腫についてお話します。

リンパ腫という病名を初めて耳にする方もおられると思いますし、今まで一緒に過ごした猫ちゃんが罹患したという方もおられると思います。

猫ちゃんに発生する悪性腫瘍は様々なものがありますが、中でも多いのがリンパ腫です。
リンパ腫にも悪性度が低いタイプから高いタイプまでありますが、今回は典型的な高悪性度のものについてお話します。
手強い悪性腫瘍です。


<リンパ腫って何?>
主に体の免疫系の役割を担うリンパ球が’がん化’し、増殖しながら他の臓器に浸潤して最終的に命を落としてしまう病気です。


顕微鏡で見たリンパ球。
リンパ球には小さいものから大きいものまであります。








<どこから発生するの?>
猫ちゃんのリンパ腫はあらゆる臓器・部位から発生しますが、主に以下のタイプが多いです。
●鼻腔 ●咽頭部 ●縦隔(胸腔) ●肝臓 ●腎臓 ●胃・小腸


<どんな症状?>
リンパ腫が発生する部位によって症状は異なります。
●鼻腔内
鼻汁(しばしば慢性化)、鼻出血、鼻の変形、呼吸困難など
●咽頭部・縦隔
呼吸困難、元気食欲低下など
●肝臓・腎臓・消化管
嘔吐、下痢、血尿、元気食欲低下など


<どのように診断するの?>
リンパ腫には ‘しこり’ を形成するタイプと、しこりは形成せずに臓器に満遍なく浸潤していくタイプがありますが、細い針を使った細胞診によって診断できることがあります。



小腸のしこりから採取された細胞。
中型〜大型のリンパ球が採取され、高悪性度のリンパ腫と診断されたケース。



細胞診で判断がつかない場合は、クローナリティ検査や、生検(一部を切除)をして病理組織診断を行うことがあります。

<治療は?>
リンパ腫はしこりを形成するかしないかに関わらず、抗がん剤による全身治療が適応となります。
しこりが物理的に悪影響を及ぼしている場合には外科切除も行います。

抗がん剤治療は通常2〜4種類の抗がん剤を組み合わせて行います。
発生部位・リンパ腫の形態によって使う薬剤が異なってきますし、来院頻度・費用・副作用などもご相談し、無理なく治療が継続できるように決めていきます。

治療反応・生存期間も発生部位やリンパ腫の形態で異なってきますが、数ヶ月で命を落とす場合もありますし、2年3年と生きられる子もいます。




非常に手強い病気ではありますが、ご家族と我々スタッフがチームとなり、できる限りサポートしてあげたいですね!

お困りなことがあればいつでもご相談ください。