みなさんこんにちは!

今回はワンちゃんのお尻・肛門周りに発生する腫瘍についてお話します。

肛門周りの腫瘍は比較的多く遭遇するもので、良性から悪性まで様々です。



左の子は肛門の真上に発生した腫瘍で、右の子は肛門の下の奥から発生した巨大な腫瘍です。肛門の位置が正常な位置からズレてしまっています。

肛門周りの腫瘍は大きく分類すると以下のようになります。
①肛門周囲腺腫(良性)
  →性ホルモンとの関連が強く、去勢をしていないオスの子で多いもの
②他の良性腫瘍
③肛門周囲腺癌(悪性)
④肛門嚢腺癌(悪性)
  →左右にある’におい袋’から発生するもの
⑤他の悪性腫瘍

細胞診とともに血液検査・画像検査を併せて行い、①−⑤のどれが疑わしいかを判断します。
(細胞診:細い針を使ってしこりから採取される細胞を顕微鏡で確認する検査)
最終的な確定診断は切除したしこりの病理組織診断にて決まります。


上記でもっとも多く遭遇するのは①の肛門周囲腺腫で、当院での治療をご紹介します。

この子は12歳のミニチュアダックスの子(未去勢)で、以前からお尻にあったしこりが大きくなってきて、その一部から出血しているとのことでした。

未去勢であることや細胞診などの検査から良性の肛門周囲腺腫を疑いました。
右が手術後の写真です。去勢手術も同時に行っています。
術後の排便も良好でした。

病理組織診断はやはり良性の肛門周囲腺腫であり、完全に取り切れた為予後良好です。去勢をしたことにより再発のリスクも低くなります。

術後2週間後の患部も良好で、抜糸も順調に終わりました。
腫瘍が取れたことで出血もなくなり、ワンちゃんもご家族も心配なく過ごせています!


今回はお尻周りの話でしたが、身体にしこりができた場合は早めにご相談くださいね。