こんにちは!

前回に引き続き、高齢の子の麻酔・手術について書きたいと思います。


当院では高齢の子の麻酔の実施は年齢で区切ることはせず、若い子もシニアの子もきちんと麻酔前評価を行って判断しています。詳しくは前回のブログをご参照ください。


今回は、高齢の子で実際に手術を行ったケースをご紹介します。




☆16歳のチワワの女の子

この子は下腹部にしこりがあり、少しずつ増大し今では出血も伴っていることから、なんとか対処ができないかということでセカンドオピニオンで来院されました。
かかりつけの病院では麻酔が難しいとのことでした。



ご家族の方も切除できるのであれば取ってあげたいという思いであったため、手術前評価として各検査を行いました。


血液検査では軽度の腎機能低下が認められましたが、レントゲンやエコーの画像検査では異常は見つかりませんでした。

しこりの細胞診検査では、悪性の乳腺腫瘍を疑う所見が認められました。



元気や食欲はあり慢性的な基礎疾患もなかったため、今回は手術前に腎臓保護として十分な静脈点滴を行えば、手術が可能と判断しました。

今回のケースでは目的は以下の2つです。
①しこり自体の治療と精査
生活の質の改善(出血・感染を取り除く)



ご家族の方とご相談し、切除をご希望されましたので、後日実施しました。




実際の手術所見です(苦手な方は読み飛ばしてください)



手術中は痛みを可能な限り感じさせないように、鎮痛剤を組み合わせて使用します(マルチモーダル鎮痛)。


とくに大きな異常はなく、無事に手術が終わりました。


術後、食欲の回復には少し日数がかかりましたが、2週後の抜糸も無事に終わり、元気に過ごしています。


しこりの病理組織診断では「乳腺癌と悪性筋上皮種」という診断でした。
やはり悪性ではありましたが、手術で完全切除ができたため、今回のケースでは根治が達成されたことになります。


今回のように、シニアの子の「腫瘍」に関するお悩みは多く、他には「口腔内・歯」のお悩みも多く聞きます。

上記の子のように、当院ではシニアの子の麻酔手術も多く行っていますので、お困りなことがあれば遠慮なくご相談くださいね。

セカンドオピニオンも随時受け付けておりますので、ご希望の方は電話やweb予約(ホームページ)で予約をお取りください。