みなさんこんにちは!

ただいま当院では歯科キャンペーンを行っており、今回は歯科に関することをお話したいと思います。


現在、「無麻酔」で歯石除去などを行う施設が多いようで、よくそのようなお話を聞きます。

全身麻酔に抵抗を感じる飼い主様は多く、「無麻酔」の魅力は大きく感じられるかもしれません。


ただし、無麻酔での歯石除去は、表面の歯石を取っているのみで、歯周病に対して最も大切な「歯周ポケットの歯垢除去・洗浄」は一切できません。

仮に歯周ポケットの処置を「無麻酔」で行った場合、非常に強い痛みが伴うため、動物たちはトラウマとなり、ますます歯磨きなどを嫌いになっていきます(歯茎の中を細い金属でガリガリされるようなイメージです)。

さらに、歯の表面を同時に削ってしまうことも多く、表面が凸凹になり、いっそう歯垢が付きやすくなる場合もあります。

そのような苦痛を与えずに、また意味のある歯周病治療を行う為に「全身麻酔」というものがあります。



当院では全身麻酔をする前に、かならず全身検査(術前検査)を実施します。

基本的には、身体検査、血液検査、レントゲンを行い、必要であれば超音波検査などを追加します。

総合的に評価して、全身麻酔の特別なリスクがあるのかを判断し、実際に手術をするのかを飼い主様とご相談します

また「高齢だから麻酔はできない」という考えはなく、きちんと全身的に評価をして、リスクが低いのか高いのかをその子その子で判断していきます。

もちろん、術前検査で麻酔リスクが高いと判断される場合は、その旨をしっかりお伝えしてご相談します。

当院でもシニアの子の歯科治療を多く行っています。
昨年、17歳のワンちゃんの飼い主様のご要望もあり、きちんと術前検査を行った上で歯科処置を行いました。

術中・術後と細心の注意を払いながら進め、意味のある歯周病治療ができました。



「全身麻酔」という言葉は非常にインパクトが強く、できれば避けたい気持ちは誰しもあると思います。

ただし、術前検査で麻酔リスクをきちんと評価し、疼痛管理も含めた適切な麻酔を行うことで、麻酔リスクを大きく減らしていくことができます。

これは歯科治療だけでなく、その他の外科治療も同様です。

可能な限り、動物たちに「意義のある治療」をしてあげたいと思っております。

歯科治療・外科治療に関して、遠慮なくご相談くださいね!