みなさんこんにちは!
冬になってきましたね、、寒いのが苦手です。。
さて、今回はお腹の臓器の一つである「脾臓」についてです。
脾臓って何??と思われるかもしれません。
ワンちゃんや猫ちゃんにもあり、我々人間にもあります。
中央の胃の右側にある、細長く平べったい組織が脾臓です。
(実際は体の左側に位置しています)
脾臓には以下の役割があります。
・老化した赤血球の破壊や除去
・血小板の貯蔵
・免疫機能 など
人では脾臓から発生する腫瘍は比較的稀と言いますが、ワンちゃんでは脾臓腫瘍は多く、しばしば病院でも遭遇します。
ただし、脾臓はお腹の中の臓器なので発見は遅れがちです。
検査でたまたま見つかった、とか、健康診断で見つかった、などということがよくあります。
基本的にはレントゲンや超音波で脾臓のしこりが発見され、治療を行っていくかどうかをご相談していきます。
ただし、画像検査で「しこり」が見つかった段階では、それが「腫瘍」であるかどうかはわかりません。
「腫瘍」以外にも「過形成」「血腫」などの腫瘍とは関係ないできものも多く存在します。
それでは、その「しこり」をどのように診断するか。
現在は特に超音波検査の精度が上がってきたため、しこりの形状や映り方である程度の病名の予想はつくようになってきました。
レントゲン検査で偶然見つかった脾臓のしこり。
画像右下にある白い丸い陰影がしこりです。
上記で見つかったしこりを超音波検査にて確認したところ。
約5cmのしこりであるとわかりました。
とはいえ、予想はできても画像診断だけでは確定診断には至りません。
確実な診断は、外科切除によって摘出し、「病理組織診断」をすることです。
しこりが大きいからと言って必ずしも悪性腫瘍ということではないですし、小さいからと言って良性のものとも限りません。
上記の子の脾臓を摘出しました。
左側に大きく丸いしこりが形成されています。
右3/4の範囲は正常な脾臓組織です。
この子は、病理組織診断にて悪性腫瘍ではなかったため、これで治療が終了となりました。
一方で、しこりの一部が破裂してお腹の中で出血してる状態の時もあります。
この場合の多くは悪性腫瘍という予想になります。
脾臓のしこりから出血していたケース。
開腹するとお腹全体に出血が見られます。
(手術前の検査で出血しているかどうか見当がつきます)
上記の子の脾臓のしこり。
脾臓の原型はなく、巨大なしこりが形成されています。
病理組織診断にて脂肪肉腫という非常に悪性度の高い悪性腫瘍であることがわかりました。他の臓器にも転移していることも判明しました。
脾臓の悪性腫瘍は概して悪性度が高く、切除のみでは治療効果が乏しいことがよくあります。つまり、切除後の全身治療(抗がん剤など)が必要になることが多いのです。
脾臓に限らず、お腹の臓器の異変はなかなか気づきにくく、具合が悪くなる頃には非常に進行している場合があります。
若い子もそうですが、特に中齢を過ぎた子は半年〜1年に1回の総合的な健診をおすすめします!
当院でも「犬猫ドック」と題して11月〜2月で健診キャンペーンをしておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。