みなさんこんにちは!
ようやく朝晩が涼しくなってきましたね。
今回のテーマは「舌」です!
みなさん「舌」と聞くとどんなイメージがあるでしょうか。
舌には味を認識することや、食べ物の飲み込みを助けるなど、生きていく上で欠かせない組織です。
そんな舌にも腫瘍ができたり、腫瘍に似たようなできものが発生することがあります。

この子は12歳の猫ちゃんで、あくびをした際に舌の奥の方が赤くなっているのをご家族が発見し来院されました。
鎮静処置にて舌の奥の方まで確認し、2〜3cmほどのデコボコしたしこりが確認されました。

細胞診の所見です。
細胞診においては比較的悪性度の高そうな細胞が採取され、肉眼的所見も含めると悪性腫瘍が疑われました。
ただし腫瘍ではない可能性もありますので、最終的な診断は病理組織診断を行う必要があります。
後日しこりの一部を切除生検しました。

舌のしこりの一部を採取しました。
この検体の病理組織診断を依頼したところ、「好酸球性肉芽腫」という腫瘍ではないできものということが判明しました。
好酸球性肉芽腫というのは猫ちゃんの口腔や皮膚などに発生することがあり、アレルギーなどが関わっていると考えられています。
好酸球性肉芽腫に対してステロイドの内服治療を行いました。
1か月後には下のように綺麗に病変が消失してきました。
ご家族の方もホッと一安心です。

今回は「悪そうに見えるしこりだったけど、実は悪いものではなかった」というお話でした。
きちんとした検査を行うことで治療方針が明確になりますので、確定診断をつけるということは非常に重要です!
上記のように腫瘍ではない場合は一安心ですが、これが腫瘍の場合はなかなか一筋縄にはいきません。
猫ちゃんもワンちゃんも、口のできものが悪性腫瘍であることはよくありますので、怪しい部分がありましたら早めの受診をおすすめします。