みなさんこんにちは!
今回は、多くのワンちゃん猫ちゃんが持っている歯周病についてご紹介します。歯周病は口臭や出血に繋がり、さらに重度になると歯の根っこが膿んでしまったり(根尖部膿瘍)、炎症が全身に影響して体調を崩すことがあります。

まずは歯周病の発生を見てみましょう。

ご覧の通り歯周病は歯の周りの骨を溶かしてしまう病気で、歯を支えることができなくなってしまいます。
また、歯周病が原因で鼻や眼にも悪影響が出たり、細菌感染が全身に及んで体調を崩してしまうこともあります。
歯垢〜軽度歯周病の段階では歯磨きなどのデンタルケアで維持・回復を見込めますが、中等度〜重度の歯周病では困難となってきます。

よって中等度〜重度の場合は麻酔下でしっかり治療することが必要になってきます。

また、歯周病自体は軽度であっても、歯が欠けたり折れたりすることで神経が露出され、痛みや感染が起きることもあります。この場合も治療が必要となってきます。


当院での治療をご紹介いたします。
この子は11歳のミックス犬で、左側の顔の急激な腫れと、元気食欲の低下を主訴に来院されました。食欲はだいぶ前から少しずつ減ってきている印象があるとのことでした。

顔の左側、頬部や眼下が大きく腫れて、眼が閉じかかっています。
写真では分かりづらいですが、左上の奥歯(第四前臼歯)が大きく欠けて中央に穴が開いており、神経が露出していました。

全身的な検査では内臓や心臓には大きな問題はありませんでした。
したがって奥歯の化膿性炎症が顔や全身に及んで体調を崩していることが予想されました。
点滴や抗生剤などの治療を数日行って一般状態がアップしたところで、麻酔下で歯科治療を行いました。

麻酔下で奥歯を確認した所見です。正常な模型に比べて、歯が大きく欠けており、中央に穴が空いているのがわかります。ここで化膿性炎症が起き、露出した中央の神経を通って炎症が拡がっていったと考えられます。

強い炎症や歯周病が起きている歯は、抜歯をすることが治療になりますので、今回も抜歯を行い、よく洗浄した後に縫合しました(下の写真)。

反対側の同じ歯も同様の所見があったので、今後のために抜歯と縫合を行いました。他の全ての歯は歯石や歯周ポケットをきれいにして処置は終了です。



歯科処置、翌日のお顔です。
点滴治療と歯科処置を経て、腫れがかなり引きました。
食欲も少しずつアップして、体調も回復してきました!

1週間後の縫合部のチェックも問題なく、食欲も以前のようにまで回復してきたとのことで、一安心です。



今回のように、歯の中央に原因がある場合もありますし、典型的な歯周病が原因の時も多くあります。時に全身に悪影響が及ぶこともありますので注意が必要です。


皆さんもおうちの子の歯をチェックしてみましょう!
気になることがあれば遠慮なくご相談くださいね。