こんにちは。獣医師の池田です。

今日は膿皮症のお話です。

背中やわきの下、内またのあたりなどにぶつぶつした赤い湿疹や、円形の脱毛黄色いかさぶたを見つけたことはありませんか?

それ、「膿皮症」かもしれません。この先の雨が多いジメジメした季節にも増えてきます。

膿皮症はなんらかの原因で皮膚のバリアが崩れてしまった結果、ブドウ球菌というバイ菌(常在菌)が毛穴や皮膚で増殖してしまうことで起きる皮膚病です。

ちなみにわんちゃんの膿皮症は日常でも大変よく遭遇する疾患であるのに対し、ねこちゃんの膿皮症は極めてまれで、原因や治療法も異なります。

今回はわんちゃんの膿皮症のおはなしです。

診断は、「菌が中心から同心円状に増えることで黄色い環状のかさぶた(膿)が大きくなってくる」特徴的な臨床所見と、細胞診(顕微鏡検査)などによって行います。

表皮の浅い部分で菌が増えている状態を表在性膿皮症と言います。かゆみを伴うこともあります。

膿皮症の原因となるブドウ球菌はとても耐性菌ができやすい菌で、近年は表在性膿皮症の4割程度は耐性菌であるとの報告もあります。
直接菌を洗い落とすシャンプーや消毒薬での外用抗菌療法が推奨されていますが、経過により内服薬(抗菌薬)を処方しながら治療していきます。

細菌培養薬剤感受性試験を行って耐性菌の有無や、より効き目のよい薬がないかどうか調べることもあります。

膿皮症の原因である皮膚バリア機能の低下は、特発性や加齢性のこともありますが、アトピー性皮膚炎や全身性の基礎疾患が原因となっていることも多く、それらを診断し治療して皮膚バリアを正常化に導いていくことが再発の予防にも繋がります。

もし皮膚に見慣れない湿疹を見つけたら、お早めに受診ください。