こんにちは! 院長の田中です。
今年は雨が多いですね。
さて、今回は膀胱結石のお話です。
みなさんも一度は耳にしたことがあると思いますが、ワンちゃんや猫ちゃんにも発生する時があります。
膀胱結石は、ミネラル成分が凝縮することで石となります。
結石の種類は主に5-6種類ありますが、中でも「カルシウム系」「ストラバイト」が多数を占めます。ダルメシアンでは「尿酸アンモニウム」が有名です。
例えばストラバイトは細菌感染との関わりがあり、抗菌剤や療法食なども治療の1つです。ただし結石が一度形成されてしまうと内科治療での完治はなかなか難しいことが多く、外科摘出が必要になります。とくにカルシウム系は内科治療は困難と言えます。
当院で治療したワンちゃんの子をご紹介しながら見ていきましょう。
この子は12歳のミックスで、他院で膀胱結石を指摘され、セカンドオピニオンで当院を受診されました。



レントゲン所見。青が膀胱の輪郭、赤が結石と考えられる陰影
上記の画像検査や尿検査で結石が存在することがわかり、治療方針の相談をしました。
膀胱結石を抱える子は血尿や膀胱炎が持続したりする子が多く、中には破片が尿道に詰まって尿道閉塞を呈することもあります(特にオス)。
幸いにもこの子は無症状でしたが、上記のことを踏まえてご家族とご相談し、外科摘出することになりました。
以下が手術所見です。



術後の経過も順調で、2日後に退院しました。
摘出した結石は専門機関に分析を依頼し、この結石はカルシウム系(シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム)ということが判明しました。
前述の通り、カルシウム系は結石が一度形成されると内科治療は難しく、外科適応になります。
尿路系の療法食もありますが、全てに効果があるとは言えない状況で、相談の上で決めていきます。
再発の可能性もあるため、定期的なチェックをしながら経過を見ていきます。
ワンちゃんも猫ちゃんも、血尿や頻尿などが見られる場合は早めに受診しましょうね!