こんにちは!

あっという間に年末、2019年もあと少しで終わりますね。


さて、今回は口の中のお話です。

ワンちゃん猫ちゃんは口腔内にできものを形成することが多く、ご家族が発見して来院されます。


特に多いのが歯肉から発生するものです。

しこりが大きくなって口の外に飛び出してくると発見しやすいですが、口の中に拡がるタイプは見えづらく発見が遅れがちです。

上の写真はどれも歯肉から発生した「しこり」です。

まず、左の写真は、歯肉から円形のしこりが形成されています。
病理組織診断で腫瘍ではなく「炎症性」のものとわかりました。

中央の写真は、大きな歯の歯肉にモコモコとしこりが形成されています。
病理組織診断で悪性腫瘍である「扁平上皮癌」ということが判明しました。

右の写真は、一見普通の歯肉に見えますが、奥の両側にピンク色のしこりが拡がっています。
病理組織診断で悪性腫瘍である「悪性黒色腫」ということがわかりました。




細胞診検査も同時に行います。
診断する上で、肉眼所見・細胞診所見も非常に重要です。










腫瘍の拡がりを確認する上で、CT検査を行う場合もあります。

このCT所見は、下顎に発生した悪性腫瘍の拡がり・浸潤を確認したものです。
下顎の左側の一部が腫瘍によって融解しています。
外科治療や放射線治療をする際に、どの範囲を治療するか決めるのに役立ちます。





上記の様に、口にできるしこりは、肉眼所見細胞診検査病理組織診断を行って診断していきます。

悪性を疑う時は、同時に全身的な検査を行い、転移の兆候がないかなども確認していきます。

ワンちゃん猫ちゃんの口腔内の処置は非常に難しいため、基本的には鎮静処置または全身麻酔を行って検査します。

口腔内の悪性腫瘍は悪性度の高いものが多く、非常に厄介です。
無治療の場合、短期間で命を落とす場合があります。

悪性腫瘍であった場合は、外科治療、放射線治療、化学療法などから適した治療法を考え、ご家族の皆さんとご相談していくことになります。

「口にできものがある」、「最近食べづらそう」、「口から出血する」、「頬の辺りが膨らんでる?」などといった症状があれば、早めにご相談くださいね。